こんにちは、寺尾祐子です。
本コミュニティー「クレメンティア(寛容)」が大事にしている「強さ」と「優しさ」と「品格」。
これらの言葉を見ていたら、ふと、ある映画の登場人物を思い出しました。
『ウィンストン・チャーチル』(原題『Darkest Hour』)
第二次世界大戦初期、イギリスの首相になったチャーチルの27日間を描いた、2018年公開の映画です。
チャーチルそっくりに特殊メイクを仕上げた辻一弘氏がメイクアップ部門でアカデミー賞を受賞したことでも話題になりましたね。
ヒトラーに屈するのか、戦うのか。
チャーチルは、窮地に追い込まれながらも、苦悩と葛藤の末に、言葉で人々を奮い立たせました。
作中、考えさせらることや、感動的なシーンはいくつかあった中で、「強さ」と「優しさ」と「品格」で思い出したのは、チャーチル夫人です。
夫婦の会話がウィットに富み、チャーチルに対する言葉に惹きつけられてしまいました。
例えば、深く悩んでいる夫チャーチルに対して、チャーチル夫人は次のように声をかけます。
「葛藤があなたを鍛えてきた。
あなたが、強い人であるのは、欠点があるから。
あなたが、かしこい人であるのは、迷いがあるから。」
つまり、欠点があるからこそ、強くなれ、迷いがあるからこそ、かしこくなれる。
マイナス面をプラス面に変換させて、言葉がより際立ちます。
対極を知っているから、より振り子が触れると大きくなれるというイメージでしょうか。
安易な言葉で励ますのではなく、二項対立(真逆の対になる言葉)をちょっとズラしたような、この表現に私は胸が熱くなりました。
他にも、チャーチルの「一人にしてくれ」という言葉に対しては、奥さまは「今さら離婚なんてイヤよ」ってユーモアで返す。
チャーチルが「正しい言葉が出てこんのだ」と言えば「大丈夫よ、首相は言葉の天才です」と、すっぱりと言い切って心を支える。
こういう会話こそが、機転が効いた会話というのでしょう。
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夫婦の会話でありませんが、最後のシーンでチャーチルは、ラジオを使って国民に言葉を熱く語りかけます。
チャーチルは言葉をもって人の心を動かし、皆をまとめ、勝利へと導きました。
それによって、チャーチルは次のように言われました。
「彼は言葉という武器を戦場に送り込んだ」
強さも優しさも品格も、立ち振る舞いだけでなく、「美しい言葉」で表現されるとき、言葉の重みや輝きも変わってきます。
哲学は、考え方はもちろんのこと、強い言葉、美しい言葉を学ぶにも最適です。哲学者たち卓越した言葉のセンスをお渡しできたらと思っています。
※ セリフの内容は、大体はあっていると思いますが、昔のメモを見ながら書いてますので、少し違っているところがあってもお許しを。
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